糖尿病治療について

糖尿病とは

糖尿病は、日本人の6人に1人が疑われる病気とされ、いまや現代病といわれています。食事中の糖分は、腸で吸収され、いったん肝臓に貯めこまれます。
そこから必要なだけの糖が作り出され、脳・筋肉が利用し、余った分は脂肪組織に備蓄として取り込まれます。これが簡単な糖分の代謝経路です。その運搬途中の血管内における糖分の濃度が過剰な上昇が高血糖であり、これが慢性的に続いた状態が糖尿病です。

筋肉・脂肪組織が糖分を利用するには膵臓から分泌されるインスリンが必要です。言いかえれば「血糖を正常に維持するための適切なインスリンの効果が得られなくなった状態」が糖尿病ともいえます。
慢性的な高血糖が続く事によって、体中の大小の血管に動脈硬化が進み、目(網膜症)・腎臓(腎症)、神経障害といった糖尿病性合併症を起こすだけでなく、脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性が高くなります。
網膜症による失明は年間4000人、腎症による末期腎不全による人工透析の導入となるのは年間13000人と言われています。
自覚症状が乏しく、合併症の出現に気付いた時にはかなり進行している事が多い糖尿病ですが、血糖をきちんと管理すれば、合併症の発症進展を抑える事が報告されています。

定期的に検査し、食事運動に心がけ、それでも改善が見られなければ適切な薬物療法を行い、血糖管理に努める事が糖尿病の治療となります。

糖尿病治療について

糖尿病の治療は大きく3つ

です。

この3つは三本柱ではなく三層のピラミッド型で、その底辺が食事療法です。すなわち食事療法があってはじめて運動療法・薬物療法の成果が得られると言っても過言ではありません。

食事療法

過剰な糖の吸収を減らし、それ以降の代謝経路に負担をかけないようにする。これが食事療法です。

厳密には標準体重(22×(身長(m))2)にその運動量によって25・30・35をかけた値が一日必要カロリーとされています。ただ普通に生活している状態では、(22×(身長(m))2)×25kcal/日が目安と考えます。

ただまず下記のポイントを重視すべきです。

  • 間食をやめる(ジュースや砂糖入りのコーヒーを含む)
  • 食事は腹八分、特に炭水化物の摂り過ぎに注意する(ごはん・パン・イモ類・果物など)

 

糖尿病の初期は、食後の血糖が正常より高くなる事から始まるといわれています。簡単にいうと、「食後、血糖が上がりやすくてさがりづらい」ところから始まります。正常の方の血糖は、食後30分くらいでピークとなり、その後改善してきます。

一方糖尿病型では、空腹時は正常でも食後血糖が上がり続け、2時間後まで上昇し、その後低下するという反応を示します。ですから、食後1-3時間に少量でも栄養をとってしまうと、血糖の下りきっていない状態から更に血糖をあげてしまうになってしまいます。こうした理由から、間食は控えるべきと考えます。

飽食の時代といわれる現代、どうしても食事は多くなりがちです。食事は腹八分を心掛けましょう。そのためには、良く噛み、早食いを避ける事です。柔らかい物ばかりを食べる事も食べ過ぎてしまう原因になります。

食事の栄養成分のなかで、食後に最も早く、血糖に反映するのが炭水化物です。運動選手が試合の少し前に炭水化物をとるのは、筋肉を最大限に利用する意味では理にかなっています。しかし糖尿病患者さんにとって、なるべく急激に血糖をあげないようにするには、食事中の炭水化物を減らす事が重要です。

「食事に気をつけましょう」とお話しすると、「もう肉は食べない」と言う方がいます。一日の総カロリーが多い方なら間違ってはいませんが、肉を避けるあま りに結局ご飯や果物が今までより多くなってしまい、結果自分の腹具合と血糖の値がマッチしない結果になってしまう事があります。肉の赤身はたんぱく質です。野菜の摂取を心がけ、主食としても肉や魚は適量とって、ご飯やパンや果物で全体のカロリーを調節するといった方法を推奨しています。

運動療法

運動は誰にとってもよい事です。特に糖代謝から言えば、筋肉の糖の利用を促進するため、非常に効果があります。肥満症はもちろん、高血圧や脂質代謝異常にも効果があるとされています。

ポイントは

  • 有酸素運動を心掛ける
  • 継続できるメニューにする

息を止めて行うような50mダッシュを何本もやっても効果は期待できません。早歩きや水中ウォーキングなどを一定時間行う事で、脂肪燃焼効果が得られます。
全く運動をしていなかったと言う人であれば、週に2-3回、30分程度の歩行運動から始めていてはいかがでしょうか。少し汗ばむ程度がいいといわれています。
運動は筋肉をつける事にもなります。減量しても筋肉が落ちてしまっては意味がありません。足腰を鍛えておくことは長期的に一般生活を維持する上でも大変重要ですし、ストレス解消や便通の改善にもつながります。

ただ注意点があります。運動後の栄養補給はお勧めしません。血糖降下薬を内服中でいつも低血糖になってしまうようなら、担当医と相談すべきです。運動で消費されるカロリーは、饅頭一つでお釣りがきてしまいます。「運動したから…」というのは非常にもったいない事です。
「運動した今こそ脂肪が燃えている」と考えましょう。またスポーツドリンクも種類によってはカロリーがかなり多い物があります。500mlのボトルでも表示は100mlあたりのカロリーを表示しています。糖尿病という点からはお勧めできません。真夏の高校球児のような大汗をかくような事でない限りは、塩分摂取の多い日本人ならお茶や水の対処で十分と考えます。

薬物療法

糖尿病の薬も種類があります。ですがやはり基本は食事療法です。患者さんの病状に応じて薬を選択していきます。

内服薬と注射薬、インスリン分泌を促して血糖をさげる薬とインスリン分泌に関わらない肝臓や筋肉、脂肪組織に働く薬、食後の血糖変動に重きをおいた薬といった具合に様々な分け方があります。実際はそれを混合しながら調節していくことが多いです。ご自分の薬がどのタイプなのか、把握しておくことが必要な事です。

糖尿病の予防について

網膜症による失明、腎症による人工透析導入、このような深刻な事態にまで発展してしまう人が多いのはなぜでしょうか。
その理由の一つに糖尿病は自覚症状に乏しい病気であることが挙げられます。口渇(のどが渇く)、多尿(たくさん尿がでる)、体重減少、全身倦怠感(だるい)といった症状が有名ですが、糖尿病が発症した頃はほとんどの人が無症状です。ある日突然視力が低下して眼科を受診し、糖尿病によるものである事を眼科医師から告げられるというケースも珍しくありません。

糖尿病を予防するポイントは

  • 肥満に気をつける(過食をしない。運動に心掛ける)
  • 自分の体質を知る(日ごろから検査をして自分の短所を把握する)

日本人は肥満に弱いといわれています。即ち体重が増加してくると欧米人よりも早く糖尿病をはじめとするいわゆる生活習慣病を発症してしまうからです。
ですからBMI(Body mass index=体重(㎏)÷身長2 (m))が25kg/m2以上の方は、1kgでも体重を落とすよう努めるべきです。5%減量すれば、血液検査でみるような異常は有意に改善するといわれています。ですから「5㎏10㎏やせる!!」というより、まず2-3kgの減量とその体重維持を目標にしましょう。

同じ物を食べても太り方が人によって違うように、血糖の変動も人によって違います。最近では家系に関係なく糖尿病になる方が多くいですが、やはり遺伝的に 糖尿病の多い家系の方は、糖尿病になりやすいと考えていいでしょう。したがって、血のつながりのある方に糖尿病がある方は、肥満がなくとも糖尿病の発症に 注意すべきです。

前述のように高血糖でも、症状はほとんどないため、日頃から健診や人間ドックなどで調べておくのも大切です。自分の気をつけなければいけないところはなにか、把握しておきましょう。

小山内科 TEL043-255-5101 お気軽にお問い合わせください
top_inq_sp.png